戸建て2号さん ~いざ売買契約~

廃墟同然の戸建て2号さんを内見してからしばらく、不動産業者の社長から「お客さん、どうです?? 」と電話が入った。

社長の説明は……。公共下水には接続していますよ。売り主の法人が4年前に競売で落札してね、屋根の補修まではしたから雨漏りの心配はない。ただ、リフォームして売るより、資金的に売却したほうが得策と判断したようですよ。

私が「220万では買えないですね」と話すと、「じゃいくらなら買える? 150万?」と言ってきた。

私「うーん120万??」と提示すると「それでもいいですよ」と言う。

今考えれば、手ヌルい、手ヌル過ぎる指し値だ。

買う気がなければ、100万でも80万でも(私が知っている最低購入価格は25万)でも吹っかければよかった。

しかし、当時は「えっいいの? 」と拍子抜けにも似た驚きを覚えてしまった。不動産投資初心者の私、甘かった。

「じゃ検討してみます」と一旦電話を切った。その時すでに「リフォームに挑戦したい」「リフォーム費用の融資を受けてみたい」と購入を決めてしまっていたように思う。不動産投資初心者の私、若かった。

しかも、休日ゴロゴロして半分眠っていた時、社長から電話が入り、不意を突かれたっていうのもある。これは初心者とか関係なく、ノリが軽く、警戒心の低い、私の性格の問題。

結局120万という安さが購入の決め手となった。セミナー仲間には「コージーさん、もう買う気満々ですよね」と言われたが、否定はされなかったし。

購入を決意し、社長に「現金で買いますわ!!」と勢いよく電話で伝えたのであった。

さて、売買契約の日。

120万に仲介手数料や登記費用を乗せたお金に、住民票と印鑑を持参し、不動産業者の事務所を訪ねる。

これがまた味わい深い体験だった。

不動産業界は、古典的な業界だと耳にしていたが、繁華街にたたずむ事務所がノスタルジーを喚起させた。要するに古い。社長、不在だし。すると、自転車でサーッと身なりのいい中高年男性がやってきた。「社長さんですか? 」と尋ねると、「司法書士です」とのこと。だから社長、早く来てよ!!

んで「ごめんごめん」とようやく出先から社長が戻ってきた。電話では何度もやり取りしていたが、後期高齢者と思われるでっぷりとした社長だ。なるほど、あの滑舌の感じは前歯が2、3本しかないからか。

その日は結局、契約をせず、帰るハメになった。

登記移転手続きに必要な「登記識別情報」の書類が見当たらなかったからだ。

狭い事務所にいくつもラックが並べられ、すべての棚に書類が山積み。そこから探し始めたのだ。探しておいてよ、もう!!

「ちょっと1時間ちょーだい」。司法書士ともども一度解散。近所のマックで食べたくもないポテトとコーヒーを注文し待つ。戻ると「やっぱないわ」と社長。

司法書士もやれやれと言った様子だが、怒ってもいない。この2人のパートナーシップには長い歴史があるのだろう。

私には関係ないわけで!!  「ちょっと怒りますよ~ホント、ちゃんと探しておいてくださいね」。冗談半分で文句言って帰ったのであった。

後日、改めて訪れる。ただ、契約を午後の遅い時間で設定したため、司法書士が「法務局の受付時間が!!」とトイレに行きたいような感じで慌て出す。一応、形ばかりの重要事項説明書や売買契約書の読み上げを行い、印鑑やサインをする。

「仲介手数料は物件価格の5%にしてあるけど、物件価格が安い場合は多めにもらうこともね……」と社長。却下。二度手間になった私が値下げしてもらいたいぐらいだ!!  私だって暇じゃないんだ!!

手書きの領収証がシブい。「金百弐拾萬圓也」て。字体もシブいので読むのに1分かかった。

司法書士が慌ててるのに、社長は「お客さん、この物件ね、アットホームで600件のアクセスがあったんですよ。不動産投資に興味ある人は多いけどね、結局、決断できるかどうかですよ」と雑談を始める。まぁ「決断力」については自負している、悪い意味でも。

司法書士が自転車を飛ばして法務局へ向かった。ドタバタ劇である。事故に遭わないことを心から願った (無事だった) 。

社長と雑談に興じてみた。

「千葉で競売物件を持っているんですよ」と明かすと、「どれどれ」と奥から持ってきたのが、読売新聞の「競売物件情報」の切り抜きの束。シブい。指をペロッとなめながらめくっていくものの、私の戸建て1号くんの情報は残念ながら見当たらなかった。

ちなみに内見の担当者は「私の代わりにメールしたり、現場行ったりする実働部隊だよ」だって。あの人、ただのツーリング愛好家だぞ。そして、社長、メールすらできないのか  (もはや、やらないと開き直っているフシすらある) 。

後日談。

実は2号さんを所有していた売り主の法人とは、この社長の法人だったのである。仲介っぽく装いやがって!!  電話した機会に「あの戸建て、社長のじゃん」と言ったら「へへへ」とお茶を濁された。

よく考えたら、売買契約の際に「売り主」が立ち会わなかったのだから、そういうことだったのだろう。人生初の一般流通物件の購入だったもんで、気づかなかった。不覚。

社長、今も元気に働いているかな。今だったら「25万」と指値してやるのに。

プロフィール

プロフィール

こんにちは!コージーです。

1982年生まれ、群馬県出身。
安月給の転勤族。大阪→姫路→高松を10年近く転々とする流浪生活の末、現在は東京都在住。
家族は夫と娘2人(6歳と4歳)。

プロフィール画像は「スピッツと椎名林檎が好きで、ジム通いも頑張っている」の図。
不動産投資歴1年半で戸建て3軒を所有、しかし……!?!?
行動指針のキーワードは「人生一度きり」「いてまえ精神」「短期集中突破」。目指せ(小)金持ち。